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●卒塔婆とは
卒塔婆(そとうば)は、ご先祖様の追善(追福)供養のために建立する仏塔です。語源は古代インドで、塔を意味する「ストゥーパ」という言葉を漢字に写した語です。真言密教ではそれを立体的な「五輪塔」で表現しますが、江戸時代になると、今日私たちが建立している木製の「板塔婆(いたとうば)」が主流となりました。
●形状
「宝珠」=「キャ」=「空」
「半月」=「カ」=「風」
「三角」=「ラ」=「火」
「円形」=「バ」=「水」
「方形」=「ア」=「地」
この形と文字は、私たちの世界を構成する「空」「風」「火」「水」「地」の五つの要素(五大または五輪という)を表し、ご本尊・大日如来を象徴しています。
●卒塔婆の表書き
胎蔵大日如来の五字真言「キャ」「カ」「ラ」「バ」「ア」の梵字と、その下に、年回忌の十三仏や供養仏の種字と真言、戒名を書きます。これは、大日如来の大いなるいのちの世界で、故人が母親のふところに安らぐように、ご本尊さまに見守られていることを意味しています。
●塔婆の裏書き
金剛界大日如来の種字である「バン字」、その下に苦厄災難を除く「破地獄の真言」、そして「南無遍照金剛」と「年月日」、「施主名」を書きます。
●卒塔婆建立の意義
亡き人のための大きな功徳であり、同時に自分の信仰心を深めていくことでもあります。私たちも精霊も、ともにご本尊さまの大いなる恵みの中に生かされていることを願い、施主から精霊への「心からの便り」となるものです。塔婆を建てることは仏像を一体つくるのと同じくらいの功徳があるのです。
※本山資料抜粋
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